この記事では、ライブハウスなどでアイドルを撮影したいと思っている方に向けて、機材(カメラ・レンズ)や撮影時の設定などを紹介しています。
アイドルカメコというと、高い機材を揃えないと話にならないと思われがちですが、条件次第では比較的安価な装備でも、十分に撮影を楽しむ事はできます。
記事中にある作例は、品川にある東京アイドル劇場で撮影した写真です。備忘録のためにごちゃごちゃ書いているので、作例だけ見たい方は目次から飛んでくださいね。
なお物販撮影も含めた、アイドルを撮る機材についても記事にまとめました。ぜひご覧ください。
こちらの記事にも注目!初心者がアイドルを撮影するのに買うべき機材
目次
一眼レフカメラでもライブ撮影は難しい
まず頭に入れておきたいのはライブ撮影というのは、撮影シーンの中でも難しい部類に入るということ。
ライブで可愛い推しを可愛く撮るというのは大変なことです。
ライブハウスでは、ステージ以外の照明は落とされ、ステージ上の光量も曲に合わせて変化します。
さらに被写体はステージ上を動き回る人、ということで、落ち着いて風景を撮影するのとはわけが違います。
なので本気で撮りたいのであれば、暗所に強い(高感度)のフルサイズ、それも求める画角によって広角・望遠レンズ、しかも明るいものを用意する必要があります。
しかし、私はカメラ初心者、それもジリ貧学生でありました。
なので、カメラはミラーレス一眼をチョイスし、レンズは明るい単焦点レンズで撮影しました。
購入したのはソニーのα6000というカメラです。5万円程度で購入できるカメラの中では、オートフォーカス性能が最も優れています。
使用するレンズは中望遠の単焦点がコスパが良い
続いてレンズです。レンズに大金をかける余裕がない人は、入門用に単焦点レンズで始めるのが良いと思います。
私が使っているのは「SIGMA 60mm F2.8 DN」という単焦点のレンズ。
画角が変更できない(35mm換算で90mm)代わりにF値が2.8なので、ライブハウスのような暗い場所でも明るさを確保できます。
また、カメラのキタムラなどで新品でも15,000円で手に入るため、コストパフォーマンスには大変すぐれています。
なお、この製品はマイクロフォーサーズ用のものも存在しており、オリンパスのミラーレスに使うと換算120mmとなり、中望遠レンズになります。
そして、α6000の連射性能が遺憾なく発揮できるように、書き込み速度の早いSDカードも用意しました。とはいえさすがに最高級のものは高すぎるので、最速95MB/秒を謳うものにしました。
ミラーレス一眼でライブハウス撮影! (撮影時のカメラの設定・コツ)
今回私が観覧したのはTask Have Funというアイドルグループ。
2017年1月8日にはキャパ約250人のライブハウス「Ruido K4」を前売りで完売させた、今勢いのあるアイドルです。
このグループは2017年2月現在、定期公演として東京アイドル劇場でライブを行っていて、私が行った2月5日の公演は14時からと17時半からの2部構成でした。
ちなみに、どのアイドルでも撮影が可能なわけではなく、どのグループが撮影可能なのかは公式HPをご覧ください。Task have Funについては、公演中に指定される2曲のみ、撮影が認められています。
なお、撮影条件についてはざっくり以下のように設定しました。
モード | マニュアル |
---|---|
F値 | F2.8 (絞り開放) |
シャッタースピード | 1/320 ~ 1/200 |
ISO感度 | オート(320~1250) |
今回用いたレンズは単焦点にしては暗いものなので、明るさを確保するためにF値は開放値としました。シャッタースピードは他の方を参考に上記の通り。
シャッタースピードに関しては、本当はもっと早い方がいいです。1/500とか。しかし、今回の装備で1/500よりも小さい値にしてしまうと、おそらく明るさが確保出来なくなってきます。
高感度に強いカメラであればISO感度を上げてトライすれば良いと思います。今回の設定は妥協に妥協を重ねた値ですね。
ISO感度はオートにしました。 これは私が現像技術を持ち合わせていないため、ある程度カメラにまかせてしまいたかったから。東京アイドル劇場はステージが明るいので、オートに設定しても実用範囲内のISOに収まりましたね。
1部は後方から
チケットはスマートフォンアプリ「DMM.E」で表示させる仕組みで、整理番号はランダム。番号は開演日の前々日に与えられます。1部の整理番号は60番台とかなり悪く、撮影は諦めました。ちなみにこの番号では座席がかろうじて確保できるレベルです。私は一番後ろの列、真ん中よりも上手側に座りました。
とはいえ、用意したレンズで最後列からはどんな感じに写るのか気になって何枚か撮ってみました。それがこちら。
[aside type=”warning”]かなり大胆なトリミングをしています[/aside]熊澤風花さん (Sony α6000, SIGMA 60mm F2.8 DN, F2.8, 1/200, ISO500)
白岡今日花さん (Sony α6000, SIGMA 60mm F2.8 DN, F2.8, 1/250, ISO640)
やはり遠い。そして前に着座している方の頭が邪魔になるのでいい感じの写真は取れませんでした。隣の人はフルサイズのカメラに70-200mmの望遠ズームを使用していたので、このくらいの装備があればそれなりに撮れるようです。
ちなみに、指定2曲の間はシャッター音があちこちから聞こえてきます。客席を撮ってみるとこんな感じ。多くの人がシャッターを切るのに夢中になっていました。
白岡今日花さん (Sony α6000, SIGMA 60mm F2.8 DN, F2.8, 1/250, ISO1250)
2部は奇跡の整理番号1番!
気を取り直して2部。2部はビギナーズラックにも程がある番号「1」が出ました。
めちゃくちゃ嬉しいのと同時に、少し不安にも思いました。というのも手元にあるのは換算90mmのレンズ。
正面にいる人を撮る場合、構図はバストアップに固定されますし、合焦も迷うかもしれないので。
純正ではないこのレンズはソニーが売りにしているファストハイブリッドAF(コントラスト検出と位相差検出のあわせ技)が使えないのです。
しかし、整理番号1番なんてこの先2度と回ってこないだろう、と思い、最前列センターに座りました。撮影には不利だとしても、肉眼で見る分には絶景が保証されているので。
それになにより、撮影している時間よりもライブを観ている時間の方が長いわけだから、ライブを楽しく観た方が良いなと思い直したんですよね。
で、結論を書くと
- やはり換算90mmは最前列だと近すぎる。
- 連射モードであってもここぞという瞬間を逃さぬ技術は必要
といった感じ。
やはり換算90mmは最前列だと近すぎる
被写体がアイドルなので明らかな失敗作を載せる事は自重しておきますが、目の前に被写体が来ると下の写真みたいな感じでドアップになります。
なので、ピントも合わせるのが難しかったですし、いい表情を抜き出す事はできませんでした。
白岡今日花さん (Sony α6000, SIGMA 60mm F2.8 DN, F2.8, 1/320, ISO320)
連射モードであってもここぞという瞬間を逃さぬ技術は必要
これも動体を撮るのが初めてだった私がヒシヒシと感じた事。
α6000は秒間11コマという優れた連射性能を持っています。「EOS 5D Mark IV」のような高級機であっても連射性能に限って見れば秒間7コマと、α6000に劣っています。
けれど、当然のことながら、秒間11コマを延々と続ける事はできません。データに書き込む速度に限界があるので、書き込み中は連射速度が遅くなります。
これを見越して比較的書き込み速度の早いSDカードを使いましたが、それでも高速連写ができるのは体感で2秒弱でしょうか。
したがって、結局「この表情良いな!」という瞬間を撮り損ねないようにするには闇雲にシャッターを切り続けるわけにはいきません。
今回、私も連射しすぎて書き込み中のシャッターが切れない間に「可愛い!!」と思えた瞬間があったのですが、録り逃がしてしまいました。これは大きな反省点でした。
そんな初カメコ現場で撮れた写真がこちら
そんなこんなで反省が目立ったカメコデビューでしたが、公開しても良いかな、と思える写真も何枚かあります。
もちろんプロ級に上手い方の写真には遠く及ばないのですが、これからカメラを始めようかなと考えている方の参考になれば幸いです。
ちなみに2部でシャッターは多分400回以上切っていて、そのほとんどが
- ピントが合っていない
- 被写体ブレがひどい
- 可愛く撮れていない
のいずれか、またはその全てに当てはまっていました。
白岡今日花さん (Sony α6000, SIGMA 60mm F2.8 DN, F2.8, 1/320, ISO320)
白岡今日花さん (Sony α6000, SIGMA 60mm F2.8 DN, F2.8, 1/320, ISO1000)
白岡今日花さん (Sony α6000, SIGMA 60mm F2.8 DN, F2.8, 1/320, ISO400)
白岡今日花さん (Sony α6000, SIGMA 60mm F2.8 DN, F2.8, 1/320, ISO320)
白岡今日花さん (Sony α6000, SIGMA 60mm F2.8 DN, F2.8, 1/320, ISO1000)
白岡今日花さん (Sony α6000, SIGMA 60mm F2.8 DN, F2.8, 1/320, ISO320)
熊澤風花さん (Sony α6000, SIGMA 60mm F2.8 DN, F2.8, 1/320, ISO400)
熊澤風花さん (Sony α6000, SIGMA 60mm F2.8 DN, F2.8, 1/320, ISO1000)
今回使用したカメラ・レンズです。
Task have Fun定期公演 2017/11/19 @東京アイドル劇場
【α6000】SIGMA 60mm F2.8 DNはカメラ初心者にオススメ単焦点![/aside]
リベンジ編(別の単焦点レンズで撮ってみた)
なんと運の良い事に、半年後に再び整理番号1番をゲットしました。
このときはSIGMAの30mm F1.4 DC DN Contemporaryというレンズを使っています。
作例は下の記事に載せていますが、少しだけこのページにも貼っておきます。
[kanren postid=”895″]【おまけ】東京アイドル劇場について
JR品川駅徒歩3分程のところにある、アイドル専門の劇場。通常、日曜日に9組のアイドルが持ち時間30分のライブを行っている劇場で、収容人数はおよそ120人。
アイドル用の劇場ということで、ライブ会場の隣に物販専用の部屋が設けられているのが特徴。この部屋で、終演後にチェキ会などの特典会が行われます。
活動場所の主現場がライブハウスであるような駆け出しのアイドルにとってはキャパシティ120人というのは丁度いい。
ここを常に完売できるようになると、例えばAKIBAカルチャーズ劇場であったりその他中規模のライブハウスにステップアップすることができるのです。
ところ | 東京都港区港南2丁目5−12 |
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収容人数 | 約120人 |
座席形式 | 座席+後方スタンディング |
チケット代 | 1200円、1日通し券4500円 |